この記事では、産業カウンセラー資格を持ち、普段はメールカウンセリングを中心に提供している筆者が、妻を嫌いになったと感じる理由の整理から、その気持ちとの向き合い方、具体的な対処法、そして無料で使える相談先までをまとめます。
妻を嫌いになった夫は珍しくない

「妻を嫌いになった」と感じてこの記事にたどり着いた方の中には、そんな自分を受け入れられないという方もいるでしょう。しかし、妻を嫌いになったと感じるのは、異常なことではありません。
30〜59歳の既婚男性1,000人を対象にした調査(ノマドマーケティング、2022年)では、13%が「妻のことが嫌い」と回答しています。およそ8人に1人です。
参考:既婚男性の1割「妻のことが嫌い」…理由は? 1000人調査で明らかになった”本音”|オトナンサー
満足度の推移で見ても、同じことが言えます。リクルートブライダル総研の「夫婦関係調査2019」によると、夫婦関係に満足していると答えた人の割合は、新婚期にあたる20代の78.5%をピークに、30代から50代にかけて低下していきます。
参考:男女・年齢で大きく変わる「夫婦関係」の満足度|東洋経済オンライン
さらに、満足度の低下が顕著に現れる転機のひとつが「出産」です。ベネッセ次世代育成研究所が、妊娠期から子どもが2歳になるまでの夫婦約300組を追跡した調査では、「配偶者といると、本当に愛していると実感する」と答えた割合は、妊娠期には夫・妻ともに74.3%でした。それが子どもが2歳になるころには、夫から妻へは51.7%、妻から夫へは34.0%まで下がります。
参考:「産後クライシス(危機)」で夫婦に何がおこる?!|ベネッセ教育総合研究所
既婚男性全体で見ると8人に1人が「嫌い」と答え、出産と育児を経ると2人に1人が「妻を愛している」という実感を持てなくなるということです。
妻を嫌いになった理由

なにがきっかけで妻を嫌いになったのでしょうか。次に挙げるものの中に、当てはまるものがないかチェックしてみてください。
いつもイライラしている、不機嫌
イライラや不機嫌を隠そうともしない配偶者を見ていて、好意が嫌悪になった方もいるでしょう。
朝の空気で、その日の妻の機嫌が分かる。声をかけるかどうかを、毎回計算している。何を言っても棘のある返事がくるので、そのうち、必要なこと以外は言わなくなった。
調査でも、妻が嫌いな理由として「いつも不機嫌」「細かすぎる」「ヒステリック」といった回答が挙がっています。
参考:既婚男性の1割「妻のことが嫌い」…理由は? 1000人調査で明らかになった”本音”|オトナンサー
感謝がない、責められる
感謝をされる機会が少なく、いつも責められてばかりいるというのも、嫌う理由になるでしょう。
やったことには何も言われず、やらなかったことだけ指摘される。「ありがとう」を最後に聞いたのがいつか、思い出せない。家のために動いているつもりが、動くほど「足りない」と言われている気がする。
最初は指摘に言い返していたのが、言い返すと空気が悪くなるので、黙るようになる。黙っていると「何も感じていない」と受け取られ、指摘がさらに増える。そうなると、頑張っても頑張らなくても結果が同じに見えてきて、頑張る理由そのものが分からなくなっていきます。
会話がない、話が通じない
コミュニケーションを取る機会が少なくなると、愛情が風化したように薄れてしまい、嫌いという感情が際立つこともあります。
同じ家にいるのに、一日で交わす言葉が連絡事項だけになっている。話しかけても反応が薄いので、話しかける回数が減った。真剣な話を切り出しても噛み合わずに終わるか、ケンカの種になるので、切り出すこと自体をやめた。
会話量と夫婦仲の関係は、調査でも示されています。ハルメク生きかた上手研究所の調査(2024年、50〜79歳の既婚男女600名)では、仲の良い夫婦と不仲の夫婦で、会話時間に2.6倍の差がありました。熟年層を対象とした調査ではありますが、夫婦の未来の姿として見過ごせないデータです。
参考:【夫婦関係に関する調査 2024】会話時間は仲良し夫婦と不仲夫婦で2.6倍の差|ハルメクホールディングス
家事・育児の分担に納得がいかない
恋人でいる間は問題にならなかったことが、結婚や出産を機に問題になることもあります。たとえば、家事や育児の分担です。
できる範囲で対応しているのに、やったことが認められない。明らかに自分の負担が大きい。それ自体は受け入れられても、まるで感謝されていないことに納得がいかない。ひとつひとつは生活に埋もれるささいなことでも、積み重なれば相手を嫌う理由になります。
生理的に受け付けなくなった、セックスレス
不貞を働いた、などの明確な原因があれば分かりやすいですが、そうでなくても、いつの間にか配偶者を生理的に受け付けられなくなっていた、ということはあり得ます。
触れられるのが嫌になった。声や物音に苛立つ。同じ部屋にいたくない。口に出しにくい理由ですが、実感として持つ方はいますし、そう感じること自体に罪はありません。
レゾンデートルが20〜50代の既婚男女4,000人に行った調査(2023年)では、男性の70.1%が配偶者とセックスレスの傾向にあり、46.0%が完全にレスの状態でした。決して特殊な状態ではありません。感情と同じで、身体の反応もまた、自分で選べるものではないのです。
参考:「完全なセックスレス」と回答した既婚者の割合は?【4000人調査】|マイナビニュース
一緒にいると息がつまる、家にいたくない
趣味や価値観の不一致などで、一緒にいてもかえってストレスばかりが溜まる。明確な理由はないけれど、過ごす時間が長くなればなるほど消耗していく。これも、結婚や出産などを機に表面化しやすい理由のひとつです。
在宅勤務が広がってから、「働く場所」と「休む場所」が同じ空間になった家庭は増えました。仕事の緊張を抜く場所が家の外になく、しかし家の中でも気が合わない人と過ごさなければならないとなれば、その感情は増幅する一方になるでしょう。
そのほかによく挙がる理由
ほかにも、金銭感覚の違い、義実家との関係、育児方針の対立などは、理由としてよく挙がります。先に挙げたそれぞれの理由と重なり合いながら、消耗を大きくしていることがあります。
また、暴言や威圧、人格を否定する言葉が日常的に続いている場合は、「嫌い」という感情の問題ではなく、安全の問題として扱う必要があるでしょう。その場合の相談先についても、後半の章で触れます。
「嫌い」という気持ちを整理する

同じ「嫌い」でも、中身は人によって違います。ここでは、いま抱えている気持ちがどういう種類のもので、何に向いているのかを、少しだけ整理してみましょう。
「嫌い」は、身を守るための反応
まず、「嫌い」という感情の正体についてです。
精神医学の事典では、感情は「生体が生き延びるために、すぐにその場から逃げる必要のある危険な状態にあるかを認識する上で役立つ機能」と定義されています。
また、産業カウンセラーのテキストでも、感情は「外界に対するもっとも基本的な評価」とされ、嫌悪は、怒りや喜び、悲しみと並ぶ基本的な6つの情動(感情の動き)の一つに数えられています。
参考:『現代精神医学事典 縮刷版』(弘文堂)「感情」の項/『産業カウンセラー養成講座テキストI』(日本産業カウンセラー協会)11章
つまり「嫌い」を含む基本的な感情は、心が「この状況は自分にとって良いか悪いか」を評価するためのサインです。痛みがなければ怪我に気づけないように、感情が消えれば危機に気づけなくなってしまう。そのため、サインそのものを消すのではなく、何に対して反応しているのかを読むほうが、根本解決につながります。
疲れて、余裕がないだけなのか
次に、妻だけが嫌いなのか、妻以外のあらゆる人や物にも嫌いという感情や苛立ちが出ているのか、という点です。これを考えることで、「嫌い」という感情がなぜ出てきているのか、何に対して出ているのかが分かりやすくなります。
日常を振り返ってみて、もしも妻以外にも嫌悪感が強く出る傾向があれば、あなた自身の心身の余裕がなくなっている可能性があります。余裕がなくなると、中立的な言動でも、敵意として受け取りやすくなります。これは「敵意帰属バイアス」と呼ばれる認知の偏りで、誰にでも起こるものです。
参考:敵意帰属バイアスの原因と対処法|他人の悪意を感じ取りやすい人へ
具体的には、妻以外にも最近やけに苛立っていないか、という点です。余裕があるときなら笑ってすませられる冗談が引っかかってしまう。いつもなら何とも思わなかった信号待ちがやけに煩わしく感じる。会社でも、子どもにも、店員にも同じように苛立つのであれば、余裕が尽きている可能性にも目を向ける必要があります。
ここで言う「余裕」とは、体力、時間、気力といった、その場の出来事を受け止めるための力のことです。睡眠が足りない、仕事の負荷が高い、休める時間がない——こうした状態が続くと、同じ出来事をより悪いほうに解釈しやすくなります。妻の言動そのものは変わっていなくても、受け取る側の状態が変われば、嫌いという感情は強まります。
嫌いなのは、妻という人か、特定の行為や状況か
「嫌い」の原因をさらに細かく分けてみましょう。
妻という人そのもの——価値観、ものの言い方、人との関わり方——が合わないと感じているのか。特定の行為——返事のなさ、言い方、家の中でのふるまい——が嫌なのか。それとも、いまの生活の形や状況——家事や育児の負担、お金、仕事との両立——が苦しくて、その苦しさが妻に向いているのか。
考えるための問いを、いくつか挙げてみます。
もし生活の負担が半分になったら、妻への気持ちは変わりそうか。
妻と過ごす時間が減ったら、楽になりそうか、それとも何も変わらなそうか。
妻がいない一日は、楽か、寂しいか、何も感じないか。
急いで答えを出す必要はありません。どの問いに引っかかりを感じたかで、嫌いという感情が何に向いているかは見えてきます。
「嫌いだから、何なのか」——そのままでいるか、変えたいか
嫌いという気持ちの中身が見えてきたところで、それをどうしたいかも考えてみましょう。
まず、嫌いなまま暮らすという選択肢。配偶者への感情が冷えたまま、生活としては成り立っている夫婦もあります。それを続けると決めることも、ひとつの選択です。
一方で、この気持ちのまま暮らすのは苦しい、何とかしたい、という場合もあるでしょう。その「何とかしたい」の中身も、また好きになりたいのか、とにかく楽になりたいのか、距離を置きたいのかで、やることが変わります。そもそも嫌いになったのか、好きになれなくなっただけなのか、という違いでも、見え方は変わるでしょう。
ここで決める必要はありません。ただ、「嫌い」で止まらずに、「嫌いだから、自分はどうしたいのか」まで言語化してみると、対処法を考えやすくなります。
ただ、こうした問いを一人で言葉にしていくのは、簡単なことではありません。書きながら整理する相手が必要だと感じた方は、下記もご検討ください。
ひとりで整理しきれないときは
妻を嫌いになったときの対処法——どうしたいかに合わせて

ここでは、一般論として言われる対処法も含めて、極力簡潔に整理します。すでに試している内容も多いかもしれませんが、それも踏まえたうえで、実践しやすい形を目指しました。
嫌いなまま暮らす、と決めた場合
やることは、感情を変えることではなく、消耗を最小限にする形に生活を整えることです。
話をするタイミングを選ぶ
感情は、それを引き起こす刺激がなくなれば、徐々に弱まっていくのが一般的です。ただ、同居している場合、刺激そのものをなくすことは難しいでしょう。そこで、接触の仕方を意識して選びます。
疲れているとき、空腹のとき、寝る直前に、大事な話を始めない。それだけでも、衝突の回数は減ります。
徹底的にシステム化する
毎回どちらがやるかで空気が悪くなる家事があるなら、家電やサービスで自動化できないか検討する。難しければ担当を固定して機械的にできるようにする。曜日で分けても、領域で分けても、その時点で二人が納得できれば分け方はなんでもかまいません。
お金で減らせる負担(食洗機、乾燥機付き洗濯機、ネットスーパーなど)は、その作業をめぐって発生していた精神的摩擦も込みで考えると、費用対効果が変わるはずです。
相手への期待を手放す
相手に期待することは諦めて、どうしても頼みたいことがある場合は口に出して頼み、断られたら「断られた」という事実だけを残す。期待を胸に抱いたままにしないだけでも、消耗しにくくなります。
とにかく楽になりたい場合
とにかく楽になりたい気持ちが強い場合は、妻との関係よりも自分自身のケアを優先的に考えましょう。
睡眠と休息を、予定に入れる
睡眠不足は、それだけで人を攻撃的にし、悲観的にします。関係の悩みだと思っていたものの何割かは、睡眠を十分に取るだけで解決することもあります。
休める時間は偶然に任せず、相手にも宣言し、予定に入れましょう。片方だけが休むと、それ自体が新しい摩擦の種になるので、お互いに確保するのがポイントです。
家の外に、休める場所を持つ
仕事が在宅で家に逃げ場がない場合は、家の外に休める場所を持つことも、対処のひとつです。カフェでも、車の中でも、散歩でもかまいません。
「家にいたくない」という感覚は、妻への感情とは別に、休める場所がないという問題を含んでいることがあります。
自分の不調を、不調として認める
眠れない、食欲が落ちた、以前は楽しめたものに心が動かない、朝がとにかくつらい。こうした状態が2週間以上続いているなら、受診を検討する水準です。心療内科でも、かかりつけの内科でもかまいません。
また好きになりたい、関係を立て直したい場合
嫌いなままでいたくない、また自然と好きになれるようになりたいと考えている場合は、話し合いやすい仕組みを整えるほうが進みやすいことがあります。
会話の総量を戻す
用事があるときしか話さない状態では、口を開くこと自体が「何か問題があるサイン」になり、話し合いのハードルが上がり続けます。食事のときに「今日あった出来事」をただ話す、ただ聞く。議題のない会話は、議題のある会話をしやすくする土台になります。
話し合いの形を変える
対面・口頭・その場で返事、という既定の形式にこだわらず、こじれやすい話題は書いて渡す(LINEでも、メモでも構いません。わが家では夫婦のやりとりはもっぱらDiscordを使っています)。
一度の話し合いで議題はひとつだけ。あれもこれも、思いついたからと言ってその場で話さない。頼みごとをするときは紙面で残して言った言わないが発生しないようにする、など、もめ事の種を生まない話し合いの形を整えましょう。
話し合いを途中でやめられるようにしておく
どちらかが限界のときは、いったん寝て、あらためて話す——これをあらかじめ夫婦で共有しておきます。中断は、話すことをやめるためではなく、話せる状態に戻るための前向きなものであると共有できていると、切り出しやすくなります。
一度話しただけで共通認識できたかどうかは分からないので、必要があれば毎回、「前も話した通り、ちゃんと話したいから少し時間を置きたい」と伝えます。その繰り返しを経て、新しいルールが二人の間で定着していきます。

筆者の場合、結婚当初、話し合いを途中でやめることがなかなかできませんでした。途中でやめるのが逃げのように感じられたり、気まずい空気のまま朝を迎えるのが耐えがたかったり、「ここで話しきらないと、相手も休まらないのではないか」という心配もあったり——いろいろな気持ちが絡み合っていました。
子どもが2人になって、そうしないと生活が回らなくなって、ようやくできるようになった節があります。それくらい、難しいことだと思います。
話し合いについて、具体的な考え方や方法は以下の記事も参考にしてみてください。
- 夫婦で話し合う習慣を作るときに押さえたい5つのポイント【注意点も】
- 夫婦で話し合うときに守りたい7つのルール【話し合いの前に話し合おう】
- 夫婦の話し合いが大切な2つの理由【分かり合うことが目的ではない】
妻の側の事情を知る
妻の言動の背景に、本人の意思ではどうにもならない事情がある場合があります。月経前の体調の波、出産後の心身の変化、生まれ持った脳の働き方の違いなど、考えられる要因はさまざまです。知ることで、同じ言動の受け取り方が変わる場合があります。
月経前の体調の波(PMS・PMDD)については、妻の生理イライラ期に夫が取るべき8つの対策で、周期の共有のお願いの仕方から、受診のすすめ方まで整理しています。
出産後の変化については、別の記事で整理します。
特性については、以下の記事も参考にしていただければと思います。
距離を置きたい場合
距離を置きたいと感じているなら、その理由を突き詰める前に、距離を置くこと自体を優先して構いません。嫌いなまま暮らすと決めたわけでも、立て直したいと決めたわけでもなく、いまはとにかく離れたい——そういう段階もあります。
ただし、何も言わずに距離を取ると、それが拒絶として伝わり、あとから埋めにくい溝を生む可能性があります。「少し一人の時間が欲しい」「いまは距離を置きたい」と、短くてもいいので明言しておくことが重要です。理由まで説明する必要はありませんし、距離を置くかどうかを相手の許可で決める必要もありません。ただ、黙って離れたのではない、という事実さえ残っていれば、戻る余地は残ります。
距離の取り方には、同じ家の中で過ごす部屋や時間をずらすことから、週末に一人で外に出ること、数日実家や友人のところに身を置くこと、別居まで幅があります。どこまで進めるかは、生活の事情に合わせて考えてみてください。
離婚すべき?——いま決めなくていい、と決める

嫌いになった配偶者と共に過ごすのが難しいと感じる方の中には、離婚すべきか悩んでいる人もいるかと思います。筆者はカウンセラーであり、この記事で、どちらにすべきかを語ることはしません。それは、あなたと、あなたの家庭の事情でしか決まらないことだからです。
ここで扱うのは、どうすべきかを決める方法です。
「決められない」と「決めない」は別のもの
嫌いという感情を抱えたままの生活には、「このままでいいのか」という問いが、常についてまわります。答えを出していないという感覚は、それ自体が消耗のもとです。
調査では、妻が嫌いだと答えた既婚男性のうち約8割が「別れたい」と思う一方で、7割超が「子どもが好き」と答えています。別れたい気持ちと、踏みとどまる理由が同居している状態は、めずらしいものではないということです。
参考:既婚男性の1割「妻のことが嫌い」…理由は? 1000人調査で明らかになった”本音”|オトナンサー
ここで、ひとつ区別をしておきます。「決められない」は、決めるべきなのにできない状態。「決めない」は、いまは決めないことを自分で選んだ状態です。中身は同じ保留でも、追い込まれた保留と選んだ保留では、消耗の仕方がまったく違います。前者は保留した日数のぶんだけ自分への失望が積もりますが、後者にはそれがありません。
「これを試すまでは決めない」という条件つきの保留
いま決めないことには、はっきりした合理性があります。ここまで見てきたとおり、あなたの「嫌い」には、余裕のなさや、妻の側の事情、積み重なった不満など、まだ手をつけていない要因が含まれている可能性があります。消耗のピークで出した答えには、不純物が混ざります。回復してから振り返ると、違う答えになることも珍しくありません。
だから、保留に条件をつけます。「いつか考える」という期限のない保留は、ただの先送りになります。そうではなく、「これを試すまでは決めない」という形にする。睡眠を確保するまで。話し合いの形を変えてみるまで。距離を置いてみるまで。条件は、なるべくわかりやすい方が良いでしょう。行動をともなわずに、「来週のこの時間に改めて考えよう」と決めることも、悪くありません。
なお、すでに気持ちが決まっている場合は、この記事の扱える範囲を超えます。その場合は、次の章で挙げる公的な窓口から、相談の入口を探してみてください。
妻が嫌い……誰に相談できる?

ここでは、無料で、妻を連れて行かずに、一人で使える公的な窓口に絞って整理します。
ちなみに内閣府が自治体に行ったアンケート(2023年)では、「男性が相談できる窓口はない」が62%、性別を分けない窓口が31%、男性相談専用の窓口があるのは7%でした。別の調査では、6割の人が「悩みを一人で抱え込んだ経験がある」と答えています。
参考:男性相談に関するアンケート結果(令和5年)|内閣府男女共同参画局/地域における相談に関する調査|内閣府男女共同参画局
男性向けの窓口は数が少なく、あることもあまり知られていません。ここで整理する情報も参考に、ご自身の自治体についても調べてみていただければ幸いです。
まず話を聞いてほしい、気持ちを整理したい
自治体の男女共同参画センターには、「男性相談」の枠を設けているところがあります。男性の相談員が対応する地域も存在し、「妻のことを男性に話したい」場合の選択肢になります。電話相談が中心で、匿名で使えます。「お住まいの自治体名+男性相談」で検索してみてください。
どこにかければいいか分からない場合は、厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)があります。かけた地域の公的な相談窓口につながる仕組みです。
自分の不調が心配
各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターが、心の健康に関する相談を無料で受けています。受診すべきか迷っている段階の相談も可能です。受診する場合は、心療内科でも、かかりつけの内科でもかまいません。
会社勤めであれば、職場の相談窓口(産業医、健康相談室、EAPと呼ばれる外部の相談サービス)も使えます。家庭の悩みは対象外だと思われがちですが、仕事への影響がある以上、相談の対象です。筆者も保有する産業カウンセラーは、こうした職場の窓口で相談を受ける立場の資格でもあります。
妻の側の事情について、一人で相談したい
発達障害者支援センターは、診断の有無を問わず、家族だけの相談を受け付けています。本人が同意していなくても、「パートナーとの関わりに困っている」という段階から相談できます。各都道府県・政令指定都市に設置されています。
参考:発達障害者支援センター一覧|発達障害情報・支援センター
月経前の不調や産後の変化については、自治体の女性健康支援センターや保健センターが、家族からの相談を受けている場合があります(地域により異なります)。
暴言や威圧が続いている場合
人格を否定する言葉や威圧が日常的に続いている場合は、配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ #8008)が、性別を問わず相談を受けています。男性からの相談も対象です。「嫌い」という感情の整理より先に、安全の確保が優先になります。
法律面の相談の入口
気持ちがすでに決まっている場合、あるいは決める前に法律面の情報が必要な場合は、法テラス(日本司法支援センター)が、公的な相談の入口になります。収入の条件を満たせば、無料の法律相談が受けられます。
窓口の名称や受付時間は地域によって異なります。「自治体名+窓口名」で検索するのが確実です。こうした窓口は、何かを決めた人のための場所ではなく、決められない状態の人のための場所です。
よくある質問
最後に、妻を嫌いになったと感じた人からよく検索されている疑問や不安について、ここまでの記事のおさらいも兼ねて簡潔に回答します。
妻を嫌いになったのは異常ですか?
異常ではありません。夫婦関係の満足度は年月とともに下がるのが統計上の標準的な経過で、出産を経た夫のおよそ2人に1人が、「愛している」という実感を持てない時期を経験しています。詳しくは冒頭の章で整理しています。
妻が嫌いな男性は、どのくらいいますか?
民間の1,000人調査では、30〜59歳の既婚男性の13%が「妻のことが嫌い」と回答しています。また、育児を経た男性のおよそ2人に1人が「妻を本当に愛していると実感できない」と回答しています。
調査の性質上、幅はありますが、一定数いるものと考えられます。
また好きになることはできますか?
できる場合も、できない場合もあります。感情そのものは意思で変えられませんが、感情を引き起こしている条件——余裕のなさ、話し合いの形、生活の負担、妻の側の事情——は変えられることがあります。
条件が変われば感情が動くこともあり、動かないこともあります。対処法の章では、関係を立て直したい場合の手順を整理しています。
子どもがいる場合はどうすればいいですか?
子どもの存在は、決断を先送りする理由にも、生活を成り立たせる理由にもなります。この記事では、いま決めないと決めたうえで、消耗を減らす方法(対処法の章)と、決め方(その次の章)を扱っています。
子どもの前での振る舞いについては、感情と扱いは別に考えられる、という点が出発点になります。
まだ「嫌い」とまでは言えないけれど、そうなりそうな場合は?
嫌いになりそう、という段階では、感情がまだ特定の出来事や言動に結びついた「その場の反応」に近い場合があります。
整理の章で挙げた、余裕の問題かどうかの見分けと、何に向いているかの問いは、この段階でもそのまま使えます。対処法の章の「話をするタイミングを選ぶ」は、感情が固まる前のほうが、効果が出やすい手当てです。
妻と一緒にいたくないときは、どうすればいいですか?
一緒にいたくないなら、距離を置いて構いません。ただし、黙って離れると拒絶として伝わり、埋めにくい溝を生むことがあるため、「少し一人の時間が欲しい」と短く明言しておくことが重要です。距離の取り方には、同じ家の中で時間をずらすことから別居まで幅があります。対処法の章の「距離を置きたい場合」で整理しています。
まとめ
- 妻を嫌いになったと感じることは、統計の上でも、心の仕組みの上でも、異常なことではありません
- 「嫌い」という感情は、心が「この状況は自分にとって良くない」と評価しているサインで、意思で消したり作ったりできるものではありません
- そのサインが何に向いているのか——余裕のなさなのか、特定の行為なのか、いまの生活なのか、妻という人なのか——を分けると、次にやることが見えやすくなります
- 対処法は、嫌いなまま暮らすのか、楽になりたいのか、立て直したいのか、距離を置きたいのかによって変わります
- 大きな決断は、条件をつけて保留できます。そして、一人で使える公的な相談先があります
この記事で整理できるのは、ここまでです。妻を嫌いになった事情は家庭ごとに違い、この記事の枠に収まらない部分も、きっとあると思います。その部分については、相談先の章で挙げた窓口が、記事よりも役に立つはずです。
嫌いという感情を抱えながら、それでも原因を調べて、対処を探して、ここまで読み進めるのは、それだけで気力を使うことです。全部を一度にやろうとする必要はありません。あなた自身のがんばりすぎも、禁物です。
相談先の章では、無料で使える公的な窓口をご紹介しました。それとは別に、有料ではありますが、筆者自身もメールでご相談をお受けしています。記事の枠に収まらないご事情を、文章でじっくり伺います。
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当ルームでは、この記事の筆者(産業カウンセラー)が、メールでご相談をお受けしています。ご自身のペースで書きながら整理でき、お一人で、ニックネームのままご利用いただけます。
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