「最近の若者はこれだから……」「そんな前例のないアイデア通るわけないよ」
自分が知らない意見やなじみのない考え方に触れた時、アレルギー反応を起こしたかのように否定的になってしまったことはありませんか?
先入観や偏見、思い込みにまつわる認知バイアスのなかから、今回は「保守性バイアス」について解説します。
具体例とあわせて、保守性バイアスに囚われないための対策法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
保守性バイアスとは
保守性バイアス(あるいは単に保守性)とは、新しい情報・事実をすぐに受け入れられず、もともと持っていた考えに固執してしまう傾向のことです。
頭の固い人のことを「保守的な人」のように表現することがありますが、まさに保守性バイアスが強い人がこれに該当します。
保守性バイアスの主なデメリットとして、考えや行動を起こす・変化させるのに時間がかかってしまう点があげられます。
一度うまくいった方法ほど固執してしまい、選択そのものを誤るというよりも、変化が鈍くなるため何か失敗したときの傷が深くなりやすいと言えるでしょう。
保守性バイアスの具体例
続いて、保守性バイアスに囚われやすい具体例を見ていきましょう。
年配の人にありがちな「最近の若者は……」
「自分たちが若いころは……」「最近の若者は言葉づかいが……」こういった意見の根底には、「自分たちの生きた時代こそが正義だ」という根拠のない思い込みがあります。
年齢を重ねることでとらわれやすくなる傾向がある一方で、情報を普段からアップデートしている人はあまりとらわれない傾向があります。
古い人・組織にありがちな「事例がないから」
チャレンジングなアイデアに対して、「事例がないから」などの理由のみで反対するのは保守的だと言わざるを得ません。
ただし、ビジネスシーンにおいてアイデアが反対される理由はバイアスばかりが関係しているわけではありませんので、否定的な意見を言う人のことをただちに「保守的だ」と断ずるのはさすがに乱暴です。
いま世の中にないアイデアは「すでに誰かが試したけれど失敗した」ものであることも多いですし、提案が的外れだからこそ反対するというシーンも多いでしょう。
株式投資でありがちな「塩漬け」
株式投資において、「この金額を下回ったら売却する」という金額のことを損切りラインといい、基本的には株式購入の前に損切りラインを決めておくのがセオリーとされています。
損切りラインを決めておかないと、いつ売却するか決められなくなってしまうためです。
しかし、たとえ損切りラインを設定していたとしても、もともと「上がる」と思って買っているため、いざ下がったときも「すぐにまた上がる」という考えをなかなか捨てることができず、本来手放すべき損切りラインを見失ってしまいます。
そうして損失を拡大させてしまい、「失敗だった」と気づいたころには取り返しのつかない額になり売るに売れない……というのが塩漬けです。
これを避けるため、証券会社などに勤めるトレーダーはまずはじめに負けて損切りすることを繰り返して、いざというときにしっかり損切りできるよう精神面を鍛えるといった話もあります。
保守性バイアスの対策
次に、どうすれば保守性バイアスに囚われず、前述したような失敗を犯さずにすむのか、主な対策を紹介します。
普段見ないジャンルに手を出す
テレビ、本、雑誌、映画、動画、SNSなどなんでもよいのですが、とにかく普段見ないジャンル・カテゴリーに手を出すようにしましょう。
そうすることで視野が広がり、いざ目新しい考えにでくわしたときも「そういう意見もあるんだな」とフラットに受け取ることができるようになります。
逆に、いつも特定の媒体、特定の人の意見しか参考にしないという人は要注意です。
海外旅行をする。できれば文化圏が全く違うところへ
こちらも視野を広げることが目的です。すでに何か国か行ったことがあるなら、なるべく行ったことがないところへ。
初めて行く場合も、ハワイなどの日本人観光客の多いところよりも、言葉が通じるかわからないような土地を訪れた方がより視野を広げやすくなります。
反対意見の多い環境に身を置く
これはなかなか難しいのですが、なるべく反対意見を排除しない方向に動くようにすることが、保守性バイアスに囚われないために最も重要な対策です。
友達や職場での人づきあいなど、どうしても意見の近いグループで固まりがちですが、こうすると保守性バイアスに関わらず、集団バイアスなどそのほかのバイアスも含めてあらゆるバイアスが生じやすくなってしまいます。
視野がどんどん狭くなってしまいますので、防ぐためにはあえて反対意見を残しておくことをおすすめします。
まとめ
以上、保守性バイアスの具体例と、そんな失敗を犯さないための対策方法について解説しました。
ひとつ注意していただきたいのは、「保守性そのものが悪いわけではない」ということです。
保守性の傾向が強すぎると変化についていけなくなってしまいますが、だからといって考えなしに動いたほうがいいというものでもありません。
何かに対して反対したくなったとき、「今の自分は保守的になりすぎていないか?」と自問自答できるようになれば、きっと囚われすぎることはないでしょう。
そのほかの認知バイアスについてはこちらをご覧ください。
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