【みんな選んでるから大丈夫】バンドワゴン効果の原因と対処法

バンドワゴン効果のアイキャッチ

「行列のできる店はおいしそう」「みんなが選んでいるものを選びたくなる」そんな心理のことを、バンドワゴン効果と言います。

今回はバンドワゴン効果の原因と対処法について解説しますので、みんなの意見に流されやすいという方はぜひ参考にしてください。

バンドワゴン効果とは

バンドワゴン効果とは、端的にいえば「行列のできているお店はおいしそう」「こんなにたくさんの人が買っているなら間違いないだろう」と感じる心理効果のことです。

バンドワゴン効果は、バンドワゴン(楽隊車)を目印にどんどん行列ができるさまを表した言葉で、「バンドワゴンに乗る」と言うと、「時流に乗る」「多勢に与する」「勝ち馬に乗る」といった意味があります。

バンドワゴン効果の背景には、「みんなから外れたくない」「みんなといっしょがいい」といった同調心理や群集心理があると考えられますね。

なおバンドワゴン効果は経済学や政治学、社会学の用語で、対義語としてアンダードッグ効果やスノッブ効果、関連語としてヴェブレン効果などが挙げられます。

それぞれ意味は次の通りです。

バンドワゴン効果の関連語

  • アンダードッグ効果:バンドワゴン効果の対義語のひとつ。いわゆる判官びいき。弱い立場の人に同情してしまう心理
  • スノッブ効果:バンドワゴン効果の対義語のひとつ。みんなと同じものは嫌、みんなが買っている物ほど欲しくなくなる心理
  • ヴェブレン効果:バンドワゴン効果の関連語のひとつ。ブランド品など、価格が高い物ほど欲しくなる心理効果

バンドワゴン効果の原因

バンドワゴン効果の原因は、「失敗したくない」という心理です。

そして失敗したくない理由には、次のようなものがあります。

  • 危険を避けたい(みんなが選んで無事だったものなら安全)
  • 恥ずかしい思いをしたくない(失敗は恥ずかしいと思っている)
  • 責められるのが怖い(失敗すると責められると思っている)
  • 自分のできなさを目の当たりにするのが怖い(プライドが高い)

一つ目の「危険を避けたい」に関しては本能的なものなので仕方ないですが、その他の3つはすべて「思い込み」が原因となっています。

たとえば失敗することが恥ずかしいことだと思っている人は、もしも間違いだったとしてもみんなと同じなら恥ずかしくないとすら感じているかもしれません。

つまり、よりよい選択肢を選ぼうとしているわけではなく、より恥ずかしくない選択を選んでしまっているのです。

その他の場合も同様に、「責められない選択」「自分の責任にならない選択」をしようとした結果、バンドワゴン効果が起こると考えることができます。

バンドワゴン効果の特徴

バンドワゴン効果がやっかいなのは、一見するとそれがとても正当な理由に思える点です。

たとえば、Amazonや食べログなどの点数評価や口コミ数を目安にサービスを選ぶという方は多いでしょう。

点数の高さや口コミの内容を参考に選ぶときはまだいいのですが、気を付けたいのが「レビュー数」を目安にしてしまう場合です。

3件しかレビューが集まっていない商品と100件のレビューが集まっている商品では、100件のレビューが集まっている商品のほうが「なんとなくよさそう」に思えませんか?

しかし実際には、そのレビューが本当に商品を利用した人のものなのかは分からず、なかには明らかに別商品に関するレビューが混ざっていることもあります。

3件のレビューより100件のレビューがつく商品のほうが信頼できる、と判断するためには、本当は100件のレビューすべてに目を通さなければいけません。

しかしわたしたちは多くの場合、この確認作業を省略して根拠なく「100件のレビューが正しい」と思い込んでしまうのです。

バンドワゴン効果の対処法

バンドワゴン効果は、うまく利用すればマーケティングなどに活用することができますが、意図せずむやみに使ってしまうのは避けたいところです。

というわけでここからは、バンドワゴン効果を無闇やたらに使わないための対処法と、バンドワゴン効果で誤った決断をしないための対処法、両方を解説していきます。

バンドワゴン効果を使わないための対処法

まずは、他者に対してバンドワゴン効果を意図せず使うのを避けるための対処法です。

他人を説得するとき「みんな」を主語にしない

対処法を考えるには、バンドワゴン効果を引き起こす「衆人に訴える論証」について考える必要があります。

衆人に訴える論証とは、

  • 「みんな」が信じているから
  • 「みんな」が支持しているから
  • 「みんな」がそこに所属しているから

などの、論理的でない理由で結論づける方法のこと。

衆人に訴える論証は、多くの人が信じている「常識」や「当たり前」を理由に説得しようとするときに用いられるものです。

そのため、「みんな」が主語になる言葉を避けることができれば、意図せず使ってしまっていたバンドワゴン効果のほとんどを避けられるでしょう。

「常識」「当たり前」などの思い込みを押し付けない

衆人に訴える論証からも分かる通り、バンドワゴン効果が悪影響を及ぼすのは「常識」「当たり前」といった思い込みを相手に押し付けようとすることで起こります。

思い込みを他人に押し付けようとすると人は、「他の人も言っていた」「みんなだってそう思っているはずだ」といった風に、衆人に頼りたくなってしまうのです。

そのため、はじめから常識や当たり前を人に押し付けないことがもっとも効果的な対策と言えるでしょう。

常識を押し付けてしまう心理についての詳細は、下記記事もご覧ください。

>>自分の常識を押し付ける人の4つの心理とタイプ別対処法

バンドワゴン効果に惑わされないための対処法

次に、バンドワゴン効果によって誤った決断をしないための対処法です。

判断基準に「人数」を加味しない

バンドワゴン効果に選択を左右されないようにするためには、何かを判断するときの基準として、「何人がそれを支持しているか?」という人数情報を加味しないことが重要。

さきほどの例で言えば、3件のレビューと100件のレビューがついた商品では100件のレビューのほうが一見信頼ができそうに思えます。

これは、情報は多ければ多いほどより正しい選択ができるとわたしたちが思い込んでしまっているためです。

しかし本当に大事なことは、レビューの数ではなく「参考になる情報の有無」のはず。そのため、何件のレビューがあるかではなく、そこから何が得られるかを常に意識することが大切です。

くれぐれも、数だけを見て判断基準としてしまわないよう気を付けましょう。

自分で選択すること、責任を負うことを恐れない

「バンドワゴン効果の原因」でも挙げた通り、バンドワゴン効果によって多数の意見に流されてしまう背景には、

「失敗したくない」
「恥ずかしい思いをしたくない」

という心理に加えて、「責任を負いたくない」といった理由が隠れています。

しかし多数の意見に身を委ねたところで、あなたの人生の責任を誰かが代わりに取ってくれるわけではありません。

そのため、バンドワゴン効果によって誤った選択をしそうになったときは、「自分の責任は自分で負うしかない」という原則を思い出しましょう。

自分以外の何かに責任転嫁しがちだ、と自覚のある方は、下記「自己奉仕バイアス」に関してもチェックしてみてください。

>>【責任転嫁の原因】自己奉仕バイアスの具体例と対策

まとめ

今回紹介したバンドワゴン効果やスノッブ効果、アンダードッグ効果は、人によっては「自分はそういう性格だから」と認識しているかもしれません。

たとえば「人に流されやすいんだよね」とか、「人と違うものを選びたくなるんだ」とか、「ブランド物についつい惹かれちゃう」とか。

しかしこれらは、自分だけが持つ個性というよりも、誰しもが持っている人間の心理傾向そのものです。そう考えると、少し冷静に考えやすくなるのではないでしょうか?