夫婦で話し合う習慣を作るときに押さえたい5つのポイント【注意点も】

私たち夫婦は、日ごろから話す機会をたくさん設けています。

そのかいもあってか、話し合ったことは数多くあれど、ケンカらしいケンカは一度もしていません。(感情的な話し合いの様子が、外からはケンカに見えたりするかもしれませんが……)

妻も私も、話し合うことの大切さを身に染みて知っているからこそ会話の時間を意識的にとるようにしているのですが、きっと世の中のカップルはそうもいかないのではないかと思います。

どちらか一方だけが話し合いたいと思っても、話し合いは成立しませんから。

そこで今回は、私たち夫婦のケースを例として、話し合いの習慣の作り方と、話し合いの習慣を作るうえでの注意点について解説します。

夫婦や恋人同士、大切な人ともっと話し合いたいけれどうまくいかないという方は、ぜひ参考にしてください。

私たち夫婦が話し合う習慣を大切にする理由

具体的な方法の前に、まずは私たち夫婦がなぜ話し合いを大切にしているかを説明させてください。

話し合いを習慣にするためには、その理由がお互いに噛み合っていることがとても重要なんです。

私たち夫婦が、夫婦で話し合う習慣を意識的に設けている理由は、ひとえに二人とも話し合う大切さをよく知っているからです。

私の妻は、HSPやADHD、アダルトチルドレンといった特徴を持っていて、かつてはうつ病になったこともあり、メンタルクリニックやカウンセリングに通っていた経験があります。

妻がそこまで精神的に追い詰められた理由は、一言でいうならば親との会話が足りなかったからです。

そして私もまた、養子として育った経験から、自分が周囲とは少し違った考え方を持っていることを自覚していて、だからこそ話し合わなければ互いの頭の中なんて知りようがないということを知っていました。

話し合うことが大切だとお互いに認識していたのは、とても幸せなことです。

一方で、私たちのケースはあくまでも「お互いが話し合いたい」と思っていたからこそ成立した習慣ですので、話し合いなんて必要ないと考えている方にはきっと響きません。

話し合いの大切さそのものについてピンと来ないという方は、話し合いの大切さについて解説したこちらのコラムをご覧ください。

話し合いを「習慣」にする理由

次に「話し合うコツ」ではなく、「話し合う習慣の作り方」を解説するのはなぜかを説明します。

話し合うコツを求める人は、「大事な話のときにどうやって円滑に話し合いをすればいいのか」と気にしているのではないでしょうか。

しかし、これは本質的ではありません。

パートナーがまじめな話に付き合ってくれない、というのはよくある悩みだと思います。けれど、「大事な話」とか「まじめな話」のときだけ話し合おうと思っても、なかなかうまくいかないものです。いやいや普段は話せている、と思う方は、普段のそれは本当に話し合いになっていたか考えてみてください。意見を交換しあうような話し合いはできていなかったのではないでしょうか。

つまり、大切な話がしたいときにうまく話し合えない関係ということは、普段から話し合いが成立しておらず、いざまじめな話の際に意見をぶつけようとして初めてその事実に直面したのではないか、ということです。

「大事な話だけ夫婦で話し合う」のではなく、「大事な話も夫婦で話し合う」と考えましょう。

普段から意見を交わすことに慣れていなければ、大事なときに忌憚のない意見を交わすことなんてできるわけがありません。

だからこそ、日常的な話し合いを習慣にすることが大切なんです。

日常的に話し合わないことによる弊害

話し合いを大切にする理由、話し合いを「習慣」にする理由のついでに、話し合わないと何が起こるかという弊害についても少しだけ触れておきたいと思います。

「なぜこんなことをするのだろう」
「なぜこんな言い方をするのだろう」
「なぜ話を聞いてくれないのだろう」
「なぜ分かってくれないのだろう」

パートナーの日常的な言動に対して、こんな風に思う機会は少なくないのではないでしょうか。

こういったもやもやを積み重ねると、いともたやすく人は人を疑うようになり、そして人は人を嫌うようになります

どんなに好き合っていたとしても、いや好き合っていたからこそ、生じた違和感が目に付くのです。

このもやもやを解消する方法は、相手に尋ねるしかありません。ただし、聞いたからといってあなたが納得する答えを返してくれるわけでもありません。

けれど、「なぜだろう?」を考える材料は確実に増えます。

例えば「聞いても答えてくれなかった」のであれば、「答えたくないことなのだろうか」と考えることはできますよね。

話し合いを習慣にするということは互いを理解する材料を増やす作業であり、反対に普段から話し合わないということは疑いの種をそのままにしておくことでもあるのです。

夫婦で話し合う習慣の作り方|5つのポイント

ここからは、実際に夫婦で話し合う習慣の作り方について解説していきます。

大きく分けて、話し合う習慣を作るために必要なポイントは主に以下の5つです。

  1. 話す内容を工夫する
  2. 話し方を工夫する
  3. 話すタイミングを工夫する
  4. 話す場を工夫する
  5. 話す道具を工夫する

①話す内容を工夫する

夫婦で話す習慣を作るなら、まずは話す内容を工夫します。

あまり慣れていない初期段階では、話す内容はできるだけ日常的なこと、かつ答えが決まっているものに絞るといいでしょう。

「今日はどんなことがあったか」とか「明日は何をする予定か」とか、そういった日常的で、議論がヒートアップしないような話題が話し合いの習慣を作る上では向いています。

反対に、仕事で何があったのかとか、子供についてどう考えているのかとか、答えがひとつに絞り込まれない質問・話題は、話し合いが習慣化しないうちに頻繁に話すのはおすすめしません。

答えが絞り込める質問をクローズクエスチョン、答えが絞り込まれない質問をオープンクエスチョンといいます。

クローズクエスチョンは、話を広げにくい反面、聞かれた側も負担なく答えやすいので話し合いを習慣化すると言う目的の上では非常に有効です。

一方、未来のことを想像するようなときには、選択肢を制限しないオープンクエスチョンのほうがいいでしょう。

使い分けが肝心です。

自分ばかり話している気がする、といった場合には、ぜひ相手へクローズクエスチョンを投げかけるなどして、発話を促してみてください。

話し方を工夫する

話し合いの習慣を作る上では、話し方を工夫することも重要です。

具体的には、カウンセリングの基本でもある積極的傾聴の姿勢が必須と考えたほうがうまくいきます。

傾聴の姿勢では、話すときは自分の意見を言うのではなく、相手の意見にひたすら耳を傾け、話を聞くことに全力を注ぎます

「話し合い」というと話し方ばかり気にしてしまいがちですが、聞き方を工夫することこそが重要です。

話を聞いてもらうことは人にとって気持ちのいいことなので、あなたが徹底的に相手の話を聞くことができれば、その話し合いは少なくともパートナーにとって楽しいものになります。

そしてパートナーが楽しんでいれば、あなたもまた楽しみやすくなるはずです。

積極的傾聴を実践するための技法については、こちらのコラムで解説しています。

話すタイミングを工夫する

話し合いを習慣にする上では、どんなタイミングで話すかというのも大切です。

話し合うベストなタイミングは、お互いが話し合うことに対して合意している瞬間。

例えば、食卓についたときくらいはテレビやスマホを観ずに話し合う、というルールを決めるのも有効でしょう。

こうすることで、話し合いが成立する回数そのものが増えます。

逆に、いつ話し合ってよいかわからない状況では、話し合いたくても成立しないことがあるんです。

あなたが突然話しかけられた時をイメージしてみてください。

急いでいるときに話しかけられても、真剣に対応するのは難しいですよね。それは、相手がパートナーや家族といった大切な人でも変わりません。

話しかけても話し合ってもらえなかった。向き合ってもらえなかった。そういう経験が続くと、どんどん話す気がなくなってしまいます。

これを防ぐためにも、まずはお互いに話し合いの意思があるのかということについてきちんと話し合っておく必要があります。

なお、すでに話し合いのルールがなんとなく形作られているなら、あえて新たに作る必要はないでしょう。

ただし、どちらかが一方的にルールを押し付けるのは絶対にNGですよ。

いざ話し合いの場を設けてもなかなか議論が前に進まないという場合には、夫婦で話し合うときに守りたいルールについて解説したこちらのコラムも参考にしてみてください。

話す場を工夫する

話し合いの習慣を作りたいなら話す場に対する配慮も必要です。

具体的には、お互いが気兼ねなく話すことができる環境作りのことですね。

例えば、そもそも2人きりになることが少ないのであれば、2人きりの時間を増やすだけでも話し合いを習慣にしやすくなるはずです。

すでに子どもがいたりすると、なかなか2人きりで話すと言うのは難しいかもしれません。だからこそ、子どもにも気兼ねせず話せる環境が必要になります。

あるいは、交友関係が広い人の場合、周囲の人の目が気になって普段は言えないということもあるかもしれません。

子どもにせよ知人にせよ、その他の身内にせよ、その人たちがいることで話す内容が制限されるような存在がいる場というのは、あまり話し合いの場として適切ではありません。

きちんと二人きりで話せる場を設けるよう意識してみてください。

例えば、用事があるときに子どもを預かってもらっているという方は、用事がなくとも預かってもらうようにする、といった考え方もあるでしょう。

話す道具を工夫する

対面で話す時間や機会を増やせるならそれに越した事は無いのですが、共働きだったりするとなかなかそうもいかないと思います。

向かい合って話す機会がなかなか取れない場合には話す道具を工夫することも必要です。

私たち夫婦も、普段のやりとりをLINEからSlackというツールへ移行してみたところ、コミュニケーションの質が明らかに変化しました。

LINEではログがひとつしかないのに対して、Slackではチャンネルやスレッドで分けることができるので、本題が流れにくいのが魅力です。

これにより、ふと思いついた話題を提供しやすくなりました。(妻の言葉を借りると、「ぼやきやすくなった」そうです)

ただし、こうしたツールの導入は話し合った上で行わなければやっぱり意味がありません。

なぜ導入したいのか、導入することによってどういう結果を期待しているのか、それを伝えた上で導入を検討しましょう。

その目的に賛同してくれるなら、話し合うために向き合う意思があるという確認にもなります。

つまり、話し合うために道具を吟味しようという話に乗ってくれること自体が、話し合いの第一歩になるのです。

導入するツールとして何を選ぶかは、大した問題ではありません。

夫婦で話し合いを習慣にする上での注意点

話し合いを習慣化する上で注意したい点は、とにかく一方的に話を進めようとしないことです。

わざわざ言うまでもありませんが、話し合いは相手がいなければ成立しません。

もっと話し合う時間を増やしたい。話し合う機会を増やしたい。そうした本来の目的を、まずはきちんと伝えることが必要です。

話し合いをする上では、とにかく相手の話を聞く姿勢というのがとても大切です。

そのため、相手がどんなにあなたの求めた言葉を返してくれなかったとしても、「あなたの話に耳を傾けてくれた」という一点において、まずは感謝しましょう。

それは立派な話し合いの第一歩になっていますから、安心してください。

まとめ

今回は、夫婦で話し合う習慣を作る方法と、その際に気を付けたい注意点について解説しました。

夫婦での話し合いというと、どうしても子育てや将来の話といった真剣な話し合いをイメージするかもしれません。

しかし、まず必要なのは話し合いの時間そのものであり、質よりも量が大切です。

結論を急がずに、ゆっくり少しずつ自分たちに合った話し合い方を模索してみてください。

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