夫婦で話し合う場をいざ設けても、ある程度の共通認識がないとなかなか話が前に進みません。それどころか最低限の気遣いがなければ、話すほど泥沼にはまってしまうことも……。
そこで今回は、夫婦で話し合うときに守りたい7つのルールについて解説します。
厳格なルールと言うより「心がけ」程度のものですが、ADHD&HSP&アダルトチルドレンという個性をもつ妻と、二人三脚で考えてきた実践的なものばかりです。
これから夫婦で話し合いの機会を作りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
夫婦の話し合いにルールが必要な理由
まずはじめに、なぜ夫婦で話し合うのにルールが必要なのか、という点について説明したいと思います。ここが共感できないと、この先のルールもピンと来ないと思うので、少しお付き合いください。
夫婦の話し合いにルールが必要な理由は、他人同士だからです。
他人同士なのに、私たちはどこかで「夫婦なら他の人は分かってくれないことも理解してくれるはず」と思ってしまっています。
これは何割かは真実ですが、もう何割かは幻想でしかありません。
「そう思える相手だから結婚した」のですから、それが勘違いであろうとなんであろうと、「他の人よりも自分のことを分かってくれる」と思うだけの根拠がどこかにあったのだと思います。
これは確かに真実です。明確な根拠がなくとも、「そう信じられる人だから結婚した」のですから、これは立派な真実といってよいでしょう。
しかしこれが、「結婚したのだから分かってくれるはず」と順番が逆転してしまったらおかしなことになります。
これは夫婦に限らず、恋人でも、友達でも、親子でも、家族でも、あらゆる人間関係に言えることです。
夫婦はとりわけ逆転しやすいからこそ、明確にルールを意識しておいたほうが話し合いがうまくいきやすいんです。
そもそもなぜ話し合いが必要なのかピンと来ない、という方は、夫婦の話し合いが大切な2つの理由もご覧になってみてください。
夫婦で話し合うときに守りたい7つのルール
それではここからは、夫婦で話し合うときに守りたい7つのルールについて、1つずつ掘り下げて解説していきます。
7つのルールは、次の通りです。
これらを共通認識として持ち合わせておくだけで、ぐっと話し合いがしやすくなりますよ。
感情に任せて話し合わない
話し合いをするときに感情的になってはいけません。
ただしこれは、「感情的になることそのものがいけない」のではなくて、感情に任せて意見の応酬をすることがよくないのだと捉えてください。
一方が感情的になったときには、「ああ、いったん話し合いは中断だな」くらいの心構えでいることが重要です。
さもなければ、「そうやって感情的になるところがよくないんだ」なんて議論を混ぜ返すことになりかねません。
自分が感情的にならないよう気を付けるだけでなく、相手が感情的になったときに話し合いを中断して「そっとしておく」という意識が大切です。
中断するのは悪いことではない
話し合いを中断することは決して悪ではありません。それどころか、中断を遮ることこそが話し合いを阻害します。
話し合いの中断が認められないと、気軽に話を始めづらくなってしまうんです。
大事な話ほど時間がかかりますから、どんなに話し合おうと思っても連続して話し合うのには限界があります。
だからもし相手が話を切ってどこかへ行こうとしたりしても、「ぜんぜん話に応じてくれない」なんて嘆かないでください。
ただし、中断するときは「次はいつ話すか」を明確にすることが大切です。
とはいえあまり厳密に決めすぎても息苦しくなってしまいますので、「続きは明日の○時ごろ話そう」といった形で、最低限おおよその日時を決めることを意識すると良いでしょう。
予定していた日時に気が乗らなかった場合は、「やっぱりまた明日にしてもいいかな」と改めて相談すればいいのです。
想像で話を膨らませない
話し合うときには、事実に目を向けることが大切です。
ありもしないことや言ってもいないことを前提に話をされてしまうと、「話しても無駄なんだな」と人間は学習します。
ここでいう事実とは、「相手が話した言葉そのもの」のことです。
それ以外の情報は、例えばあなたが見聞きした情報であっても、相手が否定するのであればそれは事実ではありません。(物的証拠などがある場合は別ですが……)
言葉の裏を読もうとせずに、相手の話した言葉そのものを受け取るよう心がけましょう。
相手の想像力に甘えない
相手の想像力に甘えて、伝える努力を怠ってはいけません。
冒頭でも触れた通り、夫婦であろうがなんであろうが他人は他人です。
これまでの関係性や、相手の優しさに甘えて、細かい説明を省略するというのはしばしばあることだと思います。
しかしいざというときには、論理的に順序を追って、相手に伝わるように伝える努力を怠らないよう注意しましょう。
もしも相手に話が伝わらないとすれば、それは伝え方がよくないからです。
相手の想像力に甘えず、あなたがあなたの意思によってきちんと伝えたいことを伝えられるように努力しましょう。
過去のことを蒸し返さない
話し合いをするときには、いま現在のことに目を向けましょう。
以前はこう言っていたのにとか、以前はこうしていたのにとか、過去のことを蒸し返さないように気をつけてください。
なお「過去の話は全部NG」ではなく「過去はこうだったからいまはこうしよう」という現在に繋がる話であればそれはOKだと思います。
何を言ってもいいわけではない
夫婦だからと言って、何を言ってもいいわけではありません。
むしろ夫婦だからこそ、他の誰よりもお互いの言葉を長く多く聞き続ける相手だからこそ、最大限の配慮が必要です。
もっと伝え方を考えよう、とか、言葉を工夫しよう、とか、そういった意見に対して「本音を言ってはいけないの?」と返したくなる人もいるかもしれません。
しかし、これは全く別の議論なんです。本音を伝えることの意味を、履き違えないように気を付けてください。
本心や本音が「食材」だとすれば、言葉を選んだり伝え方を工夫したりする行為は「調理」にあたります。
言葉をそのまま伝える人は、「新鮮だから生で食べてよ」と押し付けているだけで、相手の気持ちを想像できていません。
新鮮な食材だから生で食べなければいけないわけではありませんし、あなたにとっておいしいと思う調理法が相手にとっておいしいとも限りません。
上手に調理しようという話でもないんです。
同じ本音を伝えるにしても、せっかくなら相手が喜ぶような伝え方をしましょうという話です。
一方で、相手なりに配慮した伝え方に対して「もっと気を使って」と押し付けるのも違います。そのとき「もっとこう伝えてくれると嬉しい」と返すだけで、印象はまったく変わるはずです。
徹底的に話し合う覚悟を持つ
最後にもっとも大切な心構えが、徹底的に話し合う覚悟を持つということです。
その話し合いが本当に大事なのであれば、途中で投げ出してはいけません。そのためにも、中断を悪としてはいけないのです。
一度や二度伝わらなかったからといって諦めてはいけません。
「言わなくてもわかるでしょ」「何度も言ったでしょ」そんな姿勢は話し合いにおいて絶対にNGです。
その姿勢は、どんなに悪気が無かったとしても相手にとって「この人は話し合うことを放棄している」と映ります。
極端な例ですが、英語を聞き取れない人が何度同じ英文を聞いたところで、その意味や単語をかみ砕いて説明しなければ、正しい意味が伝わることはありません。
「日本人だったら日本語ぐらい理解してよ」と思うかもしれませんが、言葉にはたくさんの解釈があります。
あなたが知っている日本語も、あなたが使っている言葉も、他の人がまったく同じ意味で使っているとは限りません。
もっとも大切なことは、伝わるまで諦めないという姿勢です。
まとめ
以上、夫婦で話し合うときに守りたい7つのルールでした。
これらを守ることができれば、その話し合いはとても有意義なものになるでしょう。
反対に、これらを守ることができない話し合いは、お互いにとって苦痛を伴うことになるかもしれません。
特に重要なのが、最後の「徹底的に話し合う覚悟を持つ」という心構え。
これさえあれば、他のルールは後からついてくるでしょう。
しかし徹底的に話し合うという覚悟がなければ、いろいろな場面で折り合いをつけることになっていきます。
今回の記事が、夫婦で話し合うルールや心構えについて考えるきっかけになれば幸いです。
なお、話し合いをしたいけどどうやってそのタイミングを設ければいいかよくわからないという方は、夫婦で話し合う習慣を作るときに押さえたいポイントについて解説したコラムもご覧になってみてください。