HSPとうつ病の違い|それぞれの特徴から見分け方まで

「眠れない」「落ち込みやすい」「疲れやすい」「自信がない」……この症状はHSPの性質?それともうつ病なの?

そんな不安を抱える方のために、今回はHSPとうつ病の違いについて解説します。また、HSPとうつ病の特徴だけでなく、2つを見分けるセルフテストもご紹介。精度は保証できませんが、目安としてぜひご利用ください。

HSPとうつ病の違い

それでは早速、HSPとうつ病の違いについて、それぞれの具体的な定義なども踏まえて解説します。

HSPとうつ病の違いは「気質」か「病気か」

HSPは生まれ持った気質のことであり、うつ病は後天的になる病気のことです。

いわばHSPは、「肌が白い」「くせ毛」「瞳が茶色」「片腕がない」などと言った身体的特徴と同じもの。

一方、うつ病はさまざまな原因によって「憂うつ・落ち込んだ気持ち」が強く長く続き、日常生活に支障を来すような状態を言います。

HSPは「とても繊細な人」

HSPはHighly Sensitive Personの略。名前の通り「とても繊細な人」のことを言います。

音や光、人の言動などにとても敏感で、人混みや騒音、近くで怒鳴り声が聞こえたりすると、まるで自分が怒られたようにびくびくしてしまうことも。

HSPの4つの特徴「DOSE」

HSPの特徴を、英単語4つの頭文字を取って「DOES」と呼びます。

  • D(Depth of processing):深い洞察力を持つ
  • O(Overstimulation):過剰に刺激を受けやすい
  • E(Empathy and emotional responsiveness):共感力が高い
  • S(Sensitivity to subtleties):ささいな変化に気づく

HSPの特徴について、詳細はこちらをご覧ください。

HSPの原因は生まれつき。病院で診断したり治療したりするものではない

また、HSPになる原因については、提唱者のエレイン・アーロン博士によれば「生まれつき」のものであり、医療機関で診断されることもなければ、治療するものでもないとされています。

HSPの原因について、詳細はこちらをご覧ください。

うつ病は「脳のエネルギーが欠乏して意欲が低下した状態」

うつ病は、脳のエネルギーが欠乏し、憂うつな気分が強くなったりさまざまな意欲が低下したり、体に疲れなどを感じたりといった心理的・身体的症状の現れる病気のことです。

うつ病の種類・分類

うつ病には、症状の現れ方・重症か軽症か・初めてか繰り返しか・特徴的な傾向はあるか、などによって多くの種類があります。

  • 症状の現れ方による分類:単極性・双極性
  • 重症度による分類:軽症・中等症・重症
  • 初発か再発かによる分類:単一性・反復性
  • 病型による分類:メランコリー型・非定型・季節型・産後

うつ病の原因・要因

また、うつ病の原因もさまざまです。

基本的にうつ病には単一の原因というものは少なく、いくつかの要因が重なってうつ病になるもの、というのが研究によって分かっています。

主な要因となるものは、「環境要因」「性格傾向」「遺伝的要因」「慢性的な身体疾患」などです。

参考うつ病とは|厚生労働省委託メンタルヘルス・ポータルサイト[こころの耳]

HSPとうつ病はなぜ混同されやすいのか

この通り、HSPとうつ病は全く異なるものですが、なぜ混同されてしまうのでしょうか。

HSPの傾向とうつ病の症状が似ている

一番の理由は、HSPの性格的傾向とうつ病による気分障害の症状が似ているからでしょう。

例えば、「職場で周囲の音が気になって動悸が激しくなる」という症状に対して考えた場合。

ヒアリングによって人間関係などに問題が見つかれば、環境要因によるうつ病だ、と診断されることがあるかもしれません。

一方で、過去を振り返り、物心ついたころから周囲の音が気になっていたことが判明すれば、これはおそらく生まれつきHSPなのだろう、と考えることができます。

その他にも、「眠れない」「落ち込みやすい」「疲れやすい」「自信がない」などの状態が日常的に続くのは、HSPもうつ病も同様です。

つまり状態だけを見れば、HSPとうつ病はある程度似ている部分がある、もしくは重なる部分があると言えるでしょう。

HSPが原因でうつ病になることがある

またその他にHSPとうつ病が混同されやすい理由としては、HSPの特徴として当てはまる性格傾向がうつ病の原因になることがあるためです。

前項でも挙げた通り、うつ病にはさまざまな原因があり、その中でも性格傾向や環境要因が原因でなるうつ病のことを「心因性のうつ病」と呼びます。

性格や環境が原因でなる「心因性うつ病」とは

心因性うつ病とは、性格傾向や環境要因がうつ状態に強く関係している場合のうつ病のことを言います。

抑うつ神経症(神経症性抑うつ)と呼ばれることもあり、環境の影響が強い場合は反応性うつ病と呼ばれる場合も。

なお呼称に関しては、分類法やどのような心理療法的アプローチを取るかなどによっても変わるそうです。

HSPかうつ病か見極める方法

最後に、自分自身や身の回りの人がHSPかうつ病か見極める方法を紹介します。

ただしいずれも自己判断の域を出ないものであり、精度を保証するものではありません。あくまでも目安としてご利用ください。

すでにうつ病の自覚症状がある場合は精神科などを受診することをおすすめします。

3種類のHSPセルフテスト

まずはHSPのセルフ診断の方法です。

HSPの提唱者である、エレイン・アーロン博士の作成したセルフ診断リストはこちらをご覧ください。全27項目のテストで、英語からの翻訳のためやや分かりづらい質問内容もありますが、チェックリスト形式で○×を答えるだけなので、10分もあれば終えられると思います。

また、お子さん向けにはこちらのHSCテストを使ってみてください。こちらは全23項目で、同じく○×で回答するチェックリスト形式です。

セルフテストといっても子どもが自分で回答するのではなく、親が子どもの傾向について答える形式なので、HSPセルフテストよりも答えやすくなっています。

また、近年注目されている「HSS型HSP」についてチェックするテストも用意されています。こちらは全20項目で、同じく○×で回答する形式となっています。

なお、HSS型HSPについて、詳細はこちらのコラムも参考にしてください。

うつ病の診断基準「DSM-5」+簡易的なセルフテスト

うつ病の診断基準のひとつとして、アメリカ精神医学会の出しているDSM-5という診断方法があります。

DSM-5では、次の内容に基づいて、うつ病診断の基準の一つとして用います。

A.以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失である。

注:明らかに他の医学的疾患に起因する症状は含まない。

  1. その人自身の言葉(例:悲しみ、空虚感、または絶望を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているように見える)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。
    注:子どもや青年では易怒的な気分もありうる。
  2. ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退(その人の説明、または他者の観察によって示される)。
  3. 食事療法をしていないのに、有意の体重減少、または体重増加(例:1ヵ月で体重の5%以上の変化)。またはほとんど毎日の食欲の減退または増加。 注:子どもの場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ。
  4. ほとんど毎日の不眠または過眠。
  5. ほとんど毎日の精神運動焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではないもの)。
  6. ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退。
  7. ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある。単に自分をとがめること、または病気になったことに対する罪悪感ではない)。
  8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言明による、または他者によって観察される)。
  9. 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)。特別な計画はないが反復的な自殺念慮、または自殺企図、または自殺するためのはっきりした計画。

B. その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C. そのエピソードは物質の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。

注:基準A~Cにより抑うつエピソードが構成される。

注:重大な喪失(例:親しい者との死別、経済的破綻、災害による損失、重篤な医学的疾患・障害)への反応は、基準Aに記載したような強い悲しみ、喪失の反芻、不眠、食欲不振、体重減少を含むことがあり、抑うつエピソードに類似している場合がある。これらの症状は、喪失に際し生じることは理解可能で、適切なものであるかもしれないが、重大な喪失に対する正常な反応に加えて、抑うつエピソードの存在も入念に検討すべきである。その決定には、喪失についてどのように苦痛を表現するかという点に関して、各個人の生活史や文化的規範に基づいて、臨床的な判断を実行することが不可欠である。

D. 抑うつエピソードは統合失調感情障害、統合失調症、統合失調様障害、妄想性障害、または他の特定および特定不能の統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群によってはうまく説明されない。

E. 躁病エピソード、または軽躁病エピソードが存在したことがない。

注:躁病様または軽躁病様のエピソードのすべてが物質誘発性のものである場合、または他の医学的疾患の生理学的作用に起因するものである場合は、この除外は適応されない。

なおDSM-5は、医師が診断基準のひとつとするものであって、本来セルフチェックに用いるものではありません。

自分の目で見てこれらに当てはまったからといってただちにうつ病であると判別できるものでもなければ、当てはまらなかったからうつ病ではないと断ずるためのものでもありませんので、くれぐれも注意しましょう。

診断基準の詳細について興味のある方は、書籍でご確認ください。

セルフテストの場合は、次のような簡易なものでもある程度目安となります。

  • 以前は楽しめていたことが楽しめない
  • 以前は喜べていたことが喜べない
  • いいことが起こったのに気分が晴れない
  • 趣味や好きなことが楽しめない
  • そうした状態が2週間以上継続している

特に、「以前は楽しめていたのに今は楽しめない」という時間による変化があり、さらにそれが一定期間以上継続している、というのが目安にしやすいポイントです。

まとめ

HSPとうつ病は、「それはHSPじゃなくてうつ病だよ」とか、「その症状だったらうつ病じゃなくてHSPだよ」といった比べ方をするものではありません。

また、「HSPだからうつ病になった」とまるで単一の原因であるかのように直結してしまうのも問題です。今回ご紹介した方法を、あなたやあなたの周りの人のHSP傾向やうつ病傾向を判断するひとつの参考としてください。