いつもなら笑ってくれる冗談も、生理前や生理中はどうしても聞き流す余裕がないもの。普段は何の問題もなくこなせる仕事や家事も、生理のときはどうしても滞りがちです。
今回は、パートナーが苦しい生理になったときに夫ができる対策について、夫の目線から考えてみました。
日常的に心がけたい習慣についても紹介しますので、パートナーの生理に備えたい方はぜひ参考にしてください。
目次
はじめに:生理の大変さを知ろう
まず初めに、「そもそも生理って何がどう大変なのか」という点を理解するために、生理前から生理中までの諸症状について確認しておきましょう。
「それも生理の影響だったの?」と理解することで、パートナーの不調への見方も変わるはずです。
「生理前の辛さ」と「生理中の辛さ」は別物!
生理について深く考えたことのない男性の多くは、「生理前」と「生理中」で症状が全く異なることもよく分かっていないのではないでしょうか。(私もそうでした)
まずは、この点から理解していきましょう。
生理前:生理の3~10日前から起こるPMS(月経前症候群)
生理のおよそ3~10日前から起こる諸症状のことを、PMS(月経前症候群)と呼びます。
身体的症状から精神的症状まで幅広く、個人差も大きいため一概にどこからどこまでがPMSと言い切ることはできません。
症状が現れる期間も人によってまちまちで、生理直前の2~3日に集中する人もいれば、排卵直後の生理2週間前から起こる人もいます。
PMSの症状として代表的なものは、次の通りです。
- 身体的症状の例:肌荒れ(ニキビ)・腹痛・腰の痛み・頭痛・むくみ・眠気・不眠など
- 精神的症状の例:イライラ・怒りっぽい・泣きやすい・落ち着かない・憂うつ・情緒不安定・八つ当たりなど
PMSの原因ははっきりしていませんが、生理の2週間前に起こる排卵によってホルモンバランスが崩れるためではないかと考えられています。
生理前:PMSの中でも重度な精神症状を引き起こすPMDDはさらに期間が長い
PMSにはかなり個人差があるのですが、なかでも重度な精神症状を引き起こすものをPMDD(月経前不快気分障害)と呼びます。
PMDDは、一般的なPMSよりもさらに症状の現れる期間が長いのが特徴です。
生理前の精神的症状が日常生活にまで支障を来しているようであれば、それはPMDDと考えたほうがよいでしょう。
以下のPMDDの主な症状に該当する場合は、婦人科か精神科で診断を受けてみることをおすすめします。
- 希死念慮(自殺願望)にとらわれる
- 気力が減退してやる気が出ない
- 涙が止まらなくなる
- イライラして周囲に対して攻撃的になる
- 感情がコントロールできずしばしば爆発してしまう、など
生理前は世界の終わりのようにうつむいていたのに、生理が始まった途端に晴れやかな顔になった、というパートナーは、ひょっとするとPMDDかもしれません。
生理中:生理初日~3日目ごろ。経血を排出しようとして子宮が痛む
生理が始まった直後、生理前半に起こる生理痛はプロスタグランジンという物質が主な原因です。
プロスタグランジンは、子宮の収縮を引き起こして経血の排出を促します。
またプロスタグランジンは胃も収縮させるので、胃のむかつきや吐き気を感じるのもこれが原因です。
加えて血管が収縮することにより、腰痛や冷え、だるさなども引き起こします。
ちなみに陣痛の痛みもプロスタグランジンが原因だそうです。
生理中:生理後半には血液の流れが滞るうっ血状態に
経血がある程度排出された生理後半には、うっ血状態になります。
うっ血とは、血液の流れが滞ること。うっ血になると、下腹部の鈍痛などを引き起こします。
生理前半に比べると痛みなどが落ち着くことが多いですが、後半のほうが辛いという女性も中にはいるようですので、油断は禁物。
なお生理の平均的な期間は、およそ3日から7日ほどと言われています。
8日以上続く場合は「過長月経」と呼ばれるもので、何かしら異常があることを疑ったほうがよいかもしれません。
我が家では妻が生理の際に手足をマッサージすることが多いのですが、血行が良くなる影響か、多少は症状が緩和されるようです(実際にどれほど楽になっているかは体験できないので分からないのですが……)
1ヵ月の中で快適に過ごせるのは「たった1週間」かもしれない
PMSやPMDDは長ければ2週間。そこから始まった生理が落ち着くまでに1週間。合計3週間。
つまり、毎月3週間近くものあいだ、なんらかの症状に悩まされ続けている女性もいるということです
1ヵ月の中で万全の体調で過ごせるのはたった1週間しかないのかもしれない。
細かい症状について理解することができなくても、そう考えてみるだけで、パートナーの不機嫌などに対する見え方や受け取り方が変わってくるのではないでしょうか。
妻の生理イライラ期に夫が取るべき8つの対策
ここからはいよいよ、パートナーが生理前~生理中のときに、夫が取るべき8つの対策についてです。
生理周期を共有する
まず初めに、夫婦間で生理周期を共有する習慣を作りましょう。
生理周期は、普段から基礎体温を測定するなどして予測することができます。
もしもパートナーが記録する習慣を持っていない場合は、婦人用の電子体温計をプレゼントしてみてもよいでしょう。
なお現在は、夫婦で生理周期を共有するためのアプリなどもありますので、もし直接話して確認するのが難しい場合には、そういったツールの導入も検討してみてはいかがでしょう。
我が家ではベッドのヘッドボードにこの体温計を置いておき、朝一で妻が測定⇒アプリへ送信することで周期を把握するようにしています。
いつも通りに接する。特別扱いしつつも悟らせない配慮が必要
どんなに妻が情緒不安定だとしても、いつも通りに接すること。これが一番大事です。
ただし勘違いしてはいけないのは、「妻にとっていつも通りだと思えるように接する」ことであって、あなたがいつもと同じ考え方・動き方・振舞い方をするという意味では決してありません。
この点を履き違えないように注意しましょう。
具体的に大切なのは、徹底的にクッションするというイメージです。
妻がどんなにとげのある言い方をしたとしても、どんなに気の乗らない返事をしたとしても、いつもやれていることがどんなにできなかったとしても、それを「妻自身が自覚せずにいられるように振舞う」ということ。
なぜそんなことをする必要があるかというと、イライラや憂うつ、悲しみといった感情は連鎖するからです。
あなたが「なんだかいつもよりイラついてるね」なんて言おうものなら、それは火に油を注ぐのと同じ。
自分でも内心イライラしているのが分かっているときに、「イライラしてるね」なんて言われたらうんざりしませんか。
しかもその原因が、自分ではどうにもならない「生理」のせいなんです。言われてもどうしようもないからこそ、余計にイライラしてしまうことでしょう。
生理のときこそ「特別扱いしつつもそれを悟らせない配慮」が重要なんです。
普段やってくれていることを「当たり前に」やる
普段食事を作ってくれているなら、代わりに作りましょう。
普段洗濯をしてくれているなら、代わりに洗濯しましょう。
掃除も同じ。食器洗いも同じ。買い物も同じ。ゴミ出しも同じ。ぜんぶです。
普段から全部やりましょうとは言いません。
ただ、普段やってもらっていることがあるなら、そこはお互い様なのだから生理のときくらい代わりにやりましょう、という話です。
「これどうする?」といちいち尋ねない
いざ家事を手伝おうとしても、普段からある程度手伝っていないと、何がどこにあるやら、何をどこにやっていいやら、分からないことだらけだと思います。
そんなときに「これはどうすればいいの?」なんて安易に尋ねるのはNGです。
でも、だからといって勝手に判断してやるのもこれまたNGです。
例えばビジネスシーンで、部下があなたにいちいち「これどうしたらいいですか?」って尋ねてきたら、少しは自分で考えろって言いたくなりませんか。
だからといって、自分で考えて自分で判断して仕事を進めてしまったらまずいですよね。
これと同じことです。
だから、「これはどうしたらいい?」ではなく、「これはこうやってもいい?」と確認しましょう。
なお、あなたがもし普段から家事をやっていないのなら、いざというときに自分で判断ができるよう日ごろから手伝っておくことをおすすめします。
選択権を委ねすぎない。適度に選択肢を絞る
何かを決定する、って結構ストレスがかかります。とくに体調が悪いときに何かを考えるのは苦痛です。
そしてそれは例えば、食事の献立を決めるのだって同じ。
とはいえ好みの問題もありますから、最終的な決定を委ねるのは決して悪いことではないでしょう。
ただその場合でも、「夕飯なに食べたい?」より「カレーとうどんだったらどっちがいい?」の方が親切です。
相手に好きなものを選んでもらおうとしているつもりであっても、考えるのがおっくうなときには迷惑でしかありません。
適度に選択肢を絞って聞くよう意識しましょう。
手足のマッサージなど、無理のない範囲でスキンシップを心がける
温かい飲み物を入れるなどして血流をよくするのもよいですが、できれば血行改善にはスキンシップを心がけたいところです。
そんなに本格的なマッサージを意識する必要はありません。
腕や、手の指をもんだりさすったりするだけでも、一時的に気が休まり多少なりとも寝つきがよくなったりします。
血行が改善しなかったとしても、肌を触れ合わせるスキンシップにはオキシトシンという幸せホルモンを分泌させる効果があります。
オキシトシンが分泌されるとストレスや不安感の軽減に繋がるので、ぜひ無理のない範囲でスキンシップを増やすことを心がけてみてください。
深刻に考えすぎずに「乗り切ること」の優先順位をあげる
生理でどんなに情緒不安定になっていたとしても、どんなに癇癪を起したとしても、パートナーであるあなたが深刻に考えすぎるのはあまりいただけません。
ただでさえパートナーは、自分の情動がコントロールできず不安になっているのですから、せめてあなたが安定していられるよう心を強く保つことを意識しましょう。
そうは言っても、平常心で居続けることは簡単ではありません。
だからこそ、深刻に考えすぎずに「とりあえず今を乗り切る」という意識が大切です。
記事の冒頭でも紹介した通り、PMSやPMDDといった生理前の諸症状は女性の多くが共有するものであり、決して特別なことでもなければ異常なことでもありません。
パートナーの不調にうろたえすぎないよう、注意してくださいね。ただし、「異常ではないから心配しなくていい」というわけではありませんよ。
妻の話を普段からよく聞いておく
深刻に考えすぎないようにすると言っても、あまりに症状が重い場合はどうしても不安になります。
そこで、「これくらいはたまにある」レベルなのかどうかを普段から聞いておくことが重要です。
明らかに初めて経験するレベルの重症の場合は、早めに病院へいったほうが良い可能性もあります。
何科を受診すればいいか分からない場合は、まずは産婦人科へ行き、その後の相談先も含めて話を聞いてみるとよいでしょう。
また、そもそも夫婦で日ごろから話し合いの場を持つことが難しいという場合には、下記記事も参考になると思います。
>>夫婦で話し合う習慣を作るときに押さえたい5つのポイント
>>夫婦で話し合うときに守りたい7つのルール
まとめ
今回の記事では、生理前~生理中の不安定な時期を乗り越えるための対策を解説しました。
ただ、もっとも大事なのはやはり対策よりも、毎月必ず来る生理という体調不良に対する理解です。
生理についてもっとよく知りたいという方には、生理を擬人化したマンガなどもおすすめ。生理のことを抜きにしても純粋におもしろい話なので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。