【言い訳の心理】セルフ・ハンディキャッピングの例と対策

テスト前に掃除を始めてしまったりついマンガを読んでしまったり……そんな経験ありませんか?

実はこれ、セルフハンディキャッピングという心理が働いていて、私たちは「わざと失敗したときの言い訳」を作ってしまっているんです。

今回は、そんなセルハンディキャッピングの働きと例、対策を解説します。

セルフハンディキャッピングについて理解したい方は、ぜひ参考にしてください。

セルフハンディキャッピングとは

セルフハンディキャッピングとは、自分の成長を阻む認知の歪みのひとつで、自分で自分に「ハンデキャップ=枷」をかけることによって、「だから失敗しても仕方ない」という状況・言い訳をつくる心理のことを言います。

セルフハードモード、なんて言い換えてもいいかもしれません。

つまり、「この状況なら失敗しても当たり前」と思える状態にするということです。

人間は、自分が傷つかないように、想定外の失敗を想定内の失敗にしようとする傾向があります。

セルフハンディキャッピングは、自分を守るためにもともと備わっている心理的傾向で、特にプライドが高い人ほどセルフハンディキャッピングをする傾向があります。

そういった傾向があることを理解して、うまく付き合っていくことが大切ですよ。「言い訳=悪」と考えて、自分や他人を責め過ぎないように気を付けてください。

セルフハンディキャッピングの具体例

セルフハンディキャッピングのイメージを深めるために、もう少し具体例について見てみましょう。

テスト前にやけに部屋の掃除・片付けが捗る

普段はぜんぜんしないのに、テスト前になるとやたら部屋の掃除や片付けがしたくなるアレ。

あれはまさにセルフハンディキャッピングです。

なんなら模様替えとかまでしたくなりますよね。

テスト前に寝不足&勉強やってないアピール

同じくテスト前、というよりもテスト当日に、「昨日全然寝てないんだよね~」などと寝不足アピールするのも、セルフハンディキャッピングです。

また、「一夜漬けだから自信がなくて……」といったアピールは、普段は勉強していない(=だから点が取れなくても仕方がない)ということの強調でもありますね。

ひとりで不可能な量の仕事を抱え込む

あえてできそうもない量の仕事を抱え込むのも、セルフハンディキャッピングの一種と言えます。

そうしてタスクを飽和させることで、「ひとつひとつの仕事が満足にできなくても仕方がない」「誰だって失敗して当然だ」と思える状況を作り出すのです。

またこれについては、仕事が多すぎて家族サービスができない、といった、また別の言い訳として機能している場合もあるかもしれません。

指示が悪かったからだ、などと責任転嫁する

ビジネスシーンからもうひとつ。

「あのときの指示は分かりづらかった。だからこうなると思ったんだよね」「いつもあの上司は説明が不親切で……」などと自分が関わったモノや対象をおとしめる言動も、セルフハンディキャッピングの一種です。

冷静に考えれば、分かりづらかったと感じた時点で聞き直せばよかったのですが、自分のプライドを守るために上司のせいにしてしまいます。

誰かのことを悪く言うときは、「だから自分は悪くない」という本心が心に隠れていることが多いのです。

セルフハンディキャッピングの種類

セルフハンディキャッピングは、「それが誰に対する言い訳か?」という点で2つに分けることができます。

獲得的セルフハンディキャッピング:自分への言い訳を用意する

「テスト前に掃除していたからしょうがない」「たくさん仕事を抱えていたから仕方がない」と自分自身に対する言い訳を用意する行動は、獲得的セルフハンディキャッピングと言います。

言葉の通り、ハンディキャップを新たに獲得しようとしてとる行動です。

こちらは対象があくまでも自分自身なので、普段から意識していないと見分けづらいでしょう。

主張的セルフハンディキャッピング:周囲へ言い訳を主張する

「寝不足なんだ」と周囲に言い訳を主張する行動は、主張的セルフハンディキャッピングです。

上司の話など、仕事の愚痴をこぼすのも同じですね。

なお、主張的セルフハンディキャッピングは主張すれば成立するので、獲得的セルフハンディキャッピングよりもお手軽で、だからこそ客観的にみると一目瞭然です。

「婚活しているけどいい相手がいないから結婚できない」というのも、主張的セルフハンディキャッピングと言えるのではないでしょうか。

セルフハンディキャッピングとの付き合い方

セルフハンディキャッピングは、あくまでも人間がもともと備えた心理的傾向であり、そこにはメリットもデメリットもあります。両者を理解したうえで、付き合い方を考えていくことが大切です。

セルフハンディキャッピングのメリット:ダメージを抑えられる

セルフハンディキャッピングのメリットは、想定外の失敗を想定内に収めることで、ダメージを最小限に抑えることができるという点です。

ダメージを抑制することにより、ささいなことで心が折れることを防いでいます。

セルフハンディキャッピングのデメリット:挑戦ができなくなる

セルフハンディキャッピングのデメリットは、失敗を最小限にした結果、大きな成功も掴めなくなってしまうことにあります。

究極の自己防衛は「挑戦をしないこと」なので、セルフハンディキャッピングが過剰に働いてしまうと、そもそもチャレンジができなくなってしまうのです。

加えて、主張的セルフハンディキャッピングを繰り返す人は、周囲から見てあまり好意的に映りません。

例えば、物語の主人公が言い訳ばかりしていたらどうでしょうか?あまり応援しようとは思えないですよね。

失敗ばかりだとしても、言い訳せずに試行錯誤し続けるキャラクターを応援したくなるのではないでしょうか。

セルフハンディキャッピングはほどほどに抑えるのが吉

心を守るために、最低限の防衛策は確かに必要です。

しかしほとんどの場合、セルフハンディキャッピングは過剰に働いていて、挑戦や成功を阻害してしまっています。

そして、心を守るための機能はセルフハンディキャッピングばかりではありませんから、セルフハンディキャッピングをしないからといって直ちに心が危機にさらされるわけでもありません。

そのため、セルフハンディキャッピングは適度に対策しておいたほうが、結果的に挑戦などのバランスが取れるのです。

セルフハンディキャッピングの対策

ここからは、セルフハンディキャッピングをできるだけ減らすための対策について解説します。

「他の人が同じことをやっていたらどう思うか?」で考えてみる

まず、「他の人が同じことをやっていたらどう思うか」を考えてみましょう。これは、獲得的セルフハンディキャッピングの対策です。

テスト前に掃除をしたりマンガを読んだりすることによって、「だからやっぱりいい点が取れなかった」と納得できるのは自分だけ。

同じことを周りの人がやっていたら「なんでそんなことしたのだろう。いい点を取りたいなら勉強に集中すればいいのに」と、冷静に考えられるのではないでしょうか。

つまり、獲得的セルフハンディキャッピングは客観的に見るととても非合理的なのです。

そのことに気が付くだけで、今までは「ついやっちゃうんだよね~」なんて笑い話にしていたエピソードも、「この行動は言い訳のためにやっているか。なんだかかっこわるいな」と割り切れるようになる可能性が高まります。

誰にも言わず秘めた挑戦をする

次に、誰にも言わず秘めた挑戦をしてみてください。これは、挑戦に慣れることでセルフハンディキャッピングそのものを減らしていくための対策です。

セルフハンディキャッピングが起こるのは、失敗が怖いからです。失敗したときに辛い思いや恥ずかしい思いをするから、それを避けようとします。

それならまずは、誰にも言わずに「秘めた挑戦」をしてみましょう。

どんなものでも構いません。朝5分早起きをがんばってみるとか、苦手なものを健康のために食べてみるとか、本当にささやかなチャレンジでいいです。

やってみると、「誰も知らない挑戦なら言い訳する必要もない」ことに気が付きます

失敗したら言わなければいいし、成功したらそこで改めて誰かに自慢したっていいんです。

そうして「挑戦してもだいじょうぶ」という体験を積むことができると、自然とセルフハンディキャッピングは減っていきます。

「やる」ではなく「できる」と宣言する

秘めた挑戦をしてだんだん慣れてきたら、より難しい挑戦を成功させるために「できる」と宣言して周囲も巻き込んでみましょう。

「○○をやる」と宣言するのではなく、「○○ができる」と宣言することがコツです。

あるいは、秘めた挑戦をした結果「○○ができた」と過去形で主張してもいいでしょう。

自分にとっては、それができることが何ら不思議ではないと思えるようなことから、少しずつ「できる」ハードルをあげていってみてください。

失敗に対する言い訳を「口に出さない」

これは、主張的セルフハンディキャッピングを防ぐための対策です。

基本的に言い訳は、自分のためにするものです。

「今回ダメだったのはきっとこれが原因だな」と自分を慰めて、「次はもっとこうしよう」と自分を鼓舞するためのものです。

そうした言い訳を自分に向けてするぶんには、反省の機会が得られるのでメリットがあります。

しかし、他人に向けて言い訳をすることにメリットはひとつもありません。

なぜなら、対策のひとつめで触れた通り、他人に対する言い訳は客観的にみるととてもかっこわるく、すればするほど自分の価値を下げてしまうものだからです。

またこれは、獲得的セルフハンディキャッピングをしたとしても、それを主張的セルフハンディキャッピングにしなければ、周囲への悪影響という最悪の結果は免れるということでもあります。

とにかく「セルフハンディキャッピング=言い訳をするのはかっこわるい」というイメージを焼き付けておくだけで、いざというときに一歩踏みとどまれるはずですよ。

まとめ

言い訳をしようとしたり、あるいは言い訳の種を作るために行動してしまっている自分に気が付いたときは、ぜひ今回ご紹介した対策法を思い出してみてください。

コツは、物語の主人公になったつもりで、魅力的なキャラクターの言動を真似することです。

ここでこんな言い訳をする主人公いるだろうか、とか、こう言い切ったら主人公っぽいな、と思えるような言動を取ると、自然と結果も伴ってきますよ。

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