そもそもHSPって何なの?病気なの?治るの?
そんな疑問を持つ方のために、今回はHSPの原因について調べました。セルフチェックなどでHSPの特徴に当てはまったけれど、その原因が気になっているという方は参考にしてください。
なおこの記事におけるHSPの情報は、HSPの提唱者であるエレイン・アーロン博士自身の書かれた記事、論文、著書をソースとしています。
目次
HSPが持つ4つの特徴「DOES」について
HSPはHighly Sensitive Personの略で、直訳すると「とても敏感な人」のことを言います。
HSPには次の4つの特徴があり、これらに当てはまる気質を持った人がHSPだと考えられています。
- D(Depth of processing):深い洞察力を持つ
- O(Overstimulation):過剰に刺激を受けやすい
- E(Empathy and emotional responsiveness):共感力が高い
- S(Sensitivity to subtleties):ささいな変化に気づく
それぞれの特徴については、こちらのコラムで詳細に解説しています。
HSPの原因は「脳の違い」にあるって本当?
まずは、HSPの原因が本当に脳の違いにあるのか、調べた内容を解説していきます。
「脳の反応に違いがある」のは本当
HSPの提唱者であるアーロン博士によれば、「HSPは脳の違いである」とはっきり語られています。
例えば、「特定の写真を見た時に脳のどのエリアが活性化したか?」を測定した研究では、HSPと非HSP(HSP尺度の低い人)では明らかに活性化する様子が違ったそうです。
このことから、HSP尺度の高い人が感じている強い刺激は気のせいなどではなく、少なくとも本人の脳に強い刺激を与えていることが分かります。
しかしこの研究結果は、「HSPの人の脳がより強い反応を示すことが確かである」という証明であって、「HSPの原因が脳であるかどうか」には直接関係がありません。
そこで、より重要になるのが次の理由です。
HSPは「先天性のもの」と定義されている
HSPの提唱者であるアーロン博士は、「HSPは先天的なもの」と定義しています。
さらにアーロン博士は、HSPは病気でもなければ性格を決定づけるものでもなく、あくまでも気質であると繰り返し語っています。
敏感なのに刺激を求めてしまう「HSS型HSP」も原因は同じ?
HSPの中には、HSS(High Sensation Seeking:刺激追求型)と呼ばれる気質を併せ持つ人がいると考えられています。
この人たちは、「敏感で繊細で疲れやすいHSP特徴を持ちながらも、刺激を追い求めてしまうためより疲れる」という、一般にはなかなか理解されにくい性質を持っています。
HSS型HSPは一般的なHSPよりもさらに数が少なく、HSPが5人に1人と言われているのに対し、HSS型はその中のさらに30%、およそ15人に1人だそうです。
HSSとHSPは一見相反する気質にも思えますが、この2つが両立する理由はアーロン博士によれば「遺伝子の違いと脳の違いではないか」とのこと。
HSPが脳の違いだとすれば、HSSは遺伝子の違いによるものであり、異なるシステムの違いだからこそ両立できているのではないかということです。
ちなみに、幼少期のHSP(HSC)はADHDと間違えられることが多く、さらに大人になるとHSS型HSPがADHDと間違えられやすいとしています。
HSPの原因が親や幼少期にあると聞いたけど違うの?
ここまでに解説した通り、HSPの定義はそもそも先天性のものであることがお分かりいただけたかと思います。
しかしなかには、「HSPの原因が親や幼少期の体験にある」と聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。
この理由は、親から幼少期に受けた影響が元で、HSPに類似した性質を持つようになることがあるためだと考えられます。
HSPによく似た性質を持つ人を表すものとして、アダルトチルドレンという概念があり、またその影響を与えた親のことを毒親と言ったり、その家庭のことを機能不全家族と言ったりします。
HSPとアダルトチルドレンの違い・見分け方
HSPの原因について解説してきましたが、最後に「結局自分はHSPなの?アダルトチルドレンなの?」と疑問を持たれている方のために、それぞれの違いについて解説します。
HSPは先天的。アダルトチルドレンは後天的
繰り返しになりますが、HSPは生まれ持った気質で先天的なものであり、アダルトチルドレンは育った環境などによる後天的なものです。
ただ、アダルトチルドレンなどの特徴は、6歳ごろにはほぼ確定されると言われています。
そのため、先天的にそれ以前からHSPの気質があったかどうかを判断するのは困難です。
ちなみに6歳ごろまでに確定する性格などを、脚本分析という心理療法で「人生脚本」と呼びます。
チェックリストで見分けるのは難しい
HSPは病気ではないので、診断する際にはアーロン博士の作ったセルフチェックリストを使うことになります。
ただ、このチェックリストはあくまでも自己診断なので、アダルトチルドレンもほとんど当てはまってしまうのが難点。
HSPとアダルトチルドレンの自覚症状はとても似ているので、チェックリストで判断することは基本的にできないのです。
HSPが原因でアダルトチルドレンになるケースも
さらにややこしいのが、HSPが影響となってアダルトチルドレンとなるケースもあるという点です。
さきほども少し触れた通り、HSP(HSC)は非HSPとは明らかに様子が異なることが多く、ADHDなどと間違えられることも珍しくないそう。
それぐらい差があるため、例えば一人目が非HSPで二人目がHSP、という組み合わせになると、親も違いに混乱し、その影響がアダルトチルドレンという形で噴出することもあります。
対処法の有効性から見分けるのが確実
ちょっと回りくどいやり方ですが、もっとも確実なのは「アダルトチルドレンの治し方」が通用するかどうかで判断する方法です。
HSPが先天的で治すようなものではないのに対して、アダルトチルドレンはカウンセリングなどで治す、あるいは克服することができます。
具体的なアダルトチルドレンの治し方は、例えば幼少期に植え付けられた思い込みを解きほぐしていく、といったものです。
また、身近な人がHSPかアダルトチルドレンか分からないという方は、HSPとの接し方と、アダルトチルドレンとの接し方に関する内容を見比べて、どちらのほうが当てはまるかを確かめてみてください。
まとめ
調べてみて感じたのは、何が原因でHSPになったにせよ、治らないということこそが大事なのではないかということです。治らないという性質は、ADHDなどの発達障害とよく似ているとも感じました。
HSPという気質は治るものではないからこそ、ある種諦めて付き合っていくという考え方に切り替えることで、ようやく少し楽になれる部分があるのかもしれません。
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