今回は、「自己嫌悪に陥ってしまって辛い」と感じている方に向けて、自己嫌悪から立ち直る方法について解説します。
こんな方の悩みに答えます。自己嫌悪は成長意欲の表れでもあるので、予防するのではなく立ち直ろうというアプローチが大切です。
目次
自己嫌悪とは
自己嫌悪とは、自分のことを疎ましく思う気持ちのこと。「なにやってんだよ自分」みたいな感情のことですね。自分にがっかりしたり、うんざりしたりする気持ちです。
自分自身を否定してしまうので、自己否定への入り口とも言えますね。似た言葉として、自己不信というものもあります。こちらは「自信を失って挫けること」で、自分を信じられなくなってしまうもの。言葉としては違いがありますが、状態としてはあまり差がないと言えるでしょう。
どちらも、恥ずかしい、後悔、自責、情けない、みっともない、プライドを失う、挫折する、心が折れる、そんなニュアンスを含んだ状態ですね。
自己嫌悪に陥る原因と心理
自己嫌悪に陥る原因は大きく分けて2つ、罪悪感と劣等感が関係しています。たとえば、次の3つのケースを考えてみましょう。
寝坊して遅刻したり約束を破ったりしたとき
寝坊して約束を破ってしまったとき。このとき「自分はなんてだらしないんだろう」と自己嫌悪する気持ちの裏側には、「迷惑をかけて申し訳ない」という罪悪感が隠れています。
会社や学校に遅刻してしまったときなども、まったく同じメカニズムですね。
自分で立てた計画や目標を果たせなかったとき
それから、自分で立てた計画や目標を果たすことができなかったときには、誰かに迷惑をかけることはないかもしれませんが、理想の自分や実在の人物と比較して劣等感を抱いてしまいがちです。
「自分がもっと優秀だったらできたはず」「誰かに相談していればなんとかなったかもしれないのに」といったように、ついついタラレバを考えてしまいます。
イライラしてつい怒鳴ってしまったとき
イライラして子どもやペットに怒鳴ってしまった場合などは、「申し訳ない」という罪悪感に加えて、「もっと立派な大人ならこんなことはしないのに」という劣等感の両方が潜んでいます。
そのためこういったシーンで生まれる自己嫌悪を解消するためには、罪悪感と劣等感をどうにかする必要があるんです。
自己嫌悪を克服する具体的な方法
というわけで自己嫌悪の発生には罪悪感と劣等感が関係しているので、自己嫌悪を克服して立ち直るためには、この2つの感情がどうして生まれるのか、そしてどうすればそれらが薄れるのかを考えていくことが大切です。
罪悪感を薄れさせる手順
誰かに迷惑をかけてしまった、申し訳ない……と自分を責める傾向のある人は、次の手順を試してみてください。
①「他の行動ならどうなっていたか?」を最高と最低のケースで想定する
まずは、罪悪感を抱いた行動に対して、「その行動がもしも別の行動に置き換わったとしたら」と考えてみてください。そして、考えうる「最高のケース」と「最低のケース」を想定します。
最高・最低としたのは分かりやすいからで、そんなに厳密に考える必要はありません。例えば「寝坊してしまった」という行動に対してなら、「寝坊せずに済んだ場合」と「さらに長時間寝坊した場合」と考えるだけでも構いません。
②自分の行動が「最高と最低の間のどのあたり」かを考えてみる
次に、想定した2つのケースに対して、今回の自分の行動が果たしてどのあたりに位置するのかを考えてみましょう。
寝坊せずに済んだ場合と、さらに長時間寝坊した場合に対して、今回の寝坊はいったいどちら側に寄っているでしょうか。考えるヒントは、寝坊による影響の大きさです。
たとえば次のように考えてみると分かりやすいかもしれません。
こうして3つのケースを並べてみると、実際のケースが大したミスではないように思えてきませんか?
③紙に書き出して視覚的に捉える
ケース別に分けて比較する一連の流れを、紙などに書き出して視覚的に捉えるようにするとさらに捗ります。
また書き出すときは、数値化したり図式化したり、なるべく直感的に分かりやすくするのがおすすめですよ。
なお、一連の流れが頭の中だけで処理できる場合はもちろんそれでも構いません。
劣等感を薄れさせる手順
続いて劣等感を薄れさせる手順についてです。劣等感は他者比較してしまうことが主な原因なので、「そもそも比較しないようにする」か、「比較対象を間違えない」というのが大きなポイントとなります。
①「誰と比べて劣っているのか」を明確にする
まずは劣等感を抱いたときに、「それは誰に対して劣っていると感じたのか」をはっきりさせておきましょう。
そうすると大きく2パターンに分かれます。ひとつは、そもそも対象が漠然としているケース。そしてもうひとつは、いいとこどりをしているケースです。
いいとこどりと言うのは、個人ではなく「いろんな人の長所と比較してしまっている」状態のことですね。
この状態に陥ってしまうと、そりゃあ劣等感に苛まれるのも無理ないよな、ということになるので、比べたいのなら「誰か一人と比べる」よう意識するか、あるいは対象が明確でないならそもそも比べることが不毛であると学びましょう。
②その対象に理想と現実でギャップがないかを確認する
対象を一人に絞り込むことができたら、その人に対して抱いている印象に、現実とギャップがないか確認してください。
たとえば、会社の同僚Aさんがめちゃくちゃ優秀だったとします。あなたはその人の「できる部分」にだけ目を向けて、「できない部分」を知らないのではないでしょうか?人は短所を隠したがるものなので、できない部分が目に入ることは基本的にありません。
あなたに見えている範囲だけでは信頼できる情報が得られない場合は、直接ヒアリングするというのも有効です。
③自分の行動が理想と比べてどのように劣っているかを確認する
自分は誰と比べていたのかをはっきりさせて、そしてその誰かがどのような状態かも明確にすることができれば、あとは自分の行動がそれに対してどのように劣っているかを確認するだけです。
劣っている内訳がわかれば、「どうすれば理想に辿り着けるか」が見えてきます。自分の現在地と、理想という目的地の場所がわかれば、そこに辿り着くまでのルートを考える余地が生まれるんです。
本質的な部分は罪悪感を薄れさせる手順と変わりません。 くれぐれも、空想や妄想に引っ張られ過ぎて自分を過度に卑下することのないよう注意してくださいね。
「次にどうするか」を考える
罪悪感を抱いた場合にも劣等感に苛まれた場合にも、どちらも共通で有効な対策は、「じゃあ次にどうするか」を考えるということです。
その行動は確かによくなかったかもしれないけれど、じゃあ次にどうするか。これを繰り返していけば、自然とよりよい自分に変わっていくことができますよ。
まとめ
今回は自己嫌悪から立ち直る方法について、具体的な手順と共に解説しました。
ネットを見ていると中には、「ミスを気にする必要ない」だとか「誰かと比べるのをやめよう」なんて、抱いた罪悪感や劣等感そのものを否定するようなアドバイスも見かけますが、これは本質がずれているとわたしは考えます。
罪悪感も劣等感も自己嫌悪も、今を否定する感情はすべて「もっとよい自分でありたい」という成長意欲から来るものであって、これそのものを否定するのは成長の否定になりかねません。
ぜひ、自分の「成長したい」という心の声を否定しないで、耳を傾けてあげてみてください。
コメントを残す